- 耐熱
- 持ち家リノベーション・リフォーム
- 九州
廃墟からの復活~性能向上リノベで賃貸革命を~
2024年度
特別賞受賞
- 構造鉄筋コンクリート造5階建て
- エリア九州
- 既存築年 1973年
- 改修竣工年月2024年
- 敷地面積301.77㎡
- 延床面積41.04㎡
- 金額 660万円
断熱
- 等級
- 6
- 省エネ地域区分
- 7地域
- UA値
- 改修前 1.20w/㎡・K
- 改修後 0.46w/㎡・K
- (改修前の2.60倍に向上)
After リノベーション後
Before リノベーション前
Process リノベーション施工中
Point 技術的なポイント
天井断熱:高性能グラスウール16K 155ミリ
壁断熱:ミラフォームλ 50ミリ
床断熱:下階が居住区のため省略
内窓:プラマードU Low-E遮熱 ガス入り




















本件は築51年の賃貸マンションの廃墟同然だった一室を断熱等級6の性能に生まれ変わらせた事例である。この取組は、増え続ける空き家問題に対する解決の糸口となるよう、賃貸でも快適な暮らしを提供することで長くその物件に住み続けてもらいたいという意図のもとに計画された。
いよいよ2025年4月から賃貸でも断熱等級4の適合が義務化されるが、それはあくまでも新築の話。既にこの世に存在する賃貸住宅は断熱等級4どころか無断熱も多いのが現状だ。
これまで鹿児島でも分譲、賃貸問わずマンションが多く建てられ、まだ築10年にも満たない物件でも空室が多く存在する中、リノベ前の本件は昔ながらの和室3DKの間取り。しかもEV無しの5階に存在し、よほどのことが無い限りわざわざ築50年を過ぎた古い部屋を借りる人はいない。結果住み手を失いメンテもされないまま数年放置され、廃墟化していた。
「古い、汚い、夏熱く冬寒い」の状態を表面上だけ整えて「リノベーション済み」と評して生き残りを図ろうとしても、「なんちゃってリノベーション」では通用しない。
周辺の賃貸よりも快適で過ごしやすくなければ選ばれない。未来のために性能向上が必要だ。
スケルトン解体後、温熱計算に基づき選定された断熱材を隙間なく充填し、配線配管もすべて一新。着工前Ua値1.2に対し、断熱施工後のUa値は0.46(断熱等級6)まで向上させ、2.6倍の断熱性向上を果たした。
賃貸でありながら区分所有マンションのリノベーションと同様にシステムキッチンや間接照明の配置などでワンランク上の暮らしを提供できる空間となった。
物件オーナーは古いマンションに対して高額のリノベ資金を捻出することは躊躇しがちだが、再投資をすることでこれから先20年30年と愛される物件に生まれ変わらせることができる。この取り組みが今後のストック活用の一つの事例となればと願う。